お墓参りでお供えするお花は本来だれのためにお供えするか知っていますか?
もちろん、仏様、故人のためにお供えするもの!!
って、思いますよね?
お花をお供えする意味は色々な解釈がされていますが、本来の意味について紹介します。
お墓参りでお花をお供えする意味
お墓にお花を供える習慣は元々、お釈迦様が生前にそのようにされたことが始まりとされていますが、そこに神道の古い習慣や、日本的な仏教の考えがあわさっています。
お墓参りの時期といえばお盆とお彼岸が中心になりますが、お墓にお花をお供えする意味は「お彼岸」と深く関わっています。
お彼岸とは?
お彼岸について簡単に説明すると、「お彼岸」とはあの世、向こう側のことです。お彼岸は極楽浄土を指しています。反対にこちら側は「此岸」(しがん)わたし達が住んでいる世界です。
私たちは煩悩の多いこちら側に住んでいますので、普段から極楽浄土に行けるように修行をしないとダメなのですが、一年で極楽浄土に一番近くなる季節にご先祖様を敬いながら、修行するのがお彼岸の時期になります。
お彼岸の時期は、春分の日を挟んだ前後3日ずつの7日間と秋分の日を挟んだ前後3日ずつの7日間あります。
春分の日と秋分の日は、中日(ちゅうにち)と呼ばれ、特にご先祖様を偲ぶ日となります。
そして前後の3日間ずつの6日間で、6個の修行を行います。彼岸に行くために、1日に1個ずつ6日で6個の修行をするんですね。
この修行のことを六波羅蜜(ろくはらみつ)と言います。この6個の修行の内いくつかは、みなさんも耳にされたことがあると思います。
六波羅蜜(ろくはらみつ)
- 布施
- 持戒
- 忍辱
- 精進
- 禅定
- 智慧
この6個の修行の一つひとつが、お墓やお仏壇にお供えをする物になっているんです。
例えば、布施。布施はお布施のことで、与えること、施す心をもつこととされています。布施はお供え物で言えば、「水」に当たるます。
そしてお供えものお花は、「忍辱」(にんにく)に当たります。
忍辱とは、苦難に耐え忍ぶことです。
すぐに怒ったり、かっとしたりするのを戒めることです。
綺麗なお花を見たときにどう感じますか?
綺麗なお花を見て、怒る人はいませんよね。
お花を見たときに安らかな気持ちになるのが普通です。
心を落ち着かせ、安らかな気持ちなるために、お花をお供えします。
つまり、仏教的な見方をすれば、お参りする人の修行のためにお花をお供えしているんですね。
ですので、お花はお墓の方に向けて供えるのではなく、お参りする人の方に向けて供えています。
もちろん、これは一つの考え方なので、お花を選ぶ際には故人の方が好きだったお花を選んでも大丈夫ですよ。
お墓参りのお花選びのマナーやタブーについて
お墓にお供えする花は、基本的に何をお供えしても大丈夫です。
ただ、マナーや古いしきたりとして、いくつか注意点はあります。
- 花の本数が偶数(奇数にする)
- いたみやすく、散りやすい
- トゲがある
- 匂いが強い
- 毒を持っている
- 深く悲しいときに赤色の花
これらはマナーやタブーから控えたほうがよいとされている点です。
ただ、今はあまりこだわらずに、故人の方が好きだった花をお供えすることが多いです。
ただ、お年寄りの方など古くからのしきたりを大事にされている方も多いですので、配慮が必要になってくるかもしれませんね。
まとめ
お花をお供えするのが、彼岸に渡るための修行の一つと知ってびっくりですよね。
古い習慣やしきたりには、何かしら意味があるものですが、わたしとしては、お墓に入られている故人の方が好きなお花をお供えするのが一番じゃないかなと思います。
最後になりますが、学問の神さまと慕われている菅原道真公が詠まれた歌を紹介します。
わたしなりに解釈すると
香(こう)はわざわざ火で焚くものではなく心の中で薫るもの
花は春が来て咲くものではなく、気持ちを込めて合掌した手に花は咲くもの
つまり、気持ちが一番大事だということではないでしょうか。